DTMにアウトボードを試す【API500モジュールたち】

デスクを新調した記事にも書いたのですが、このデスクにはいわゆる3U x 3のラックスペースがあります。

空いてると埋めたくなりますよね、、、という話なんですが、実はこれ、もともとある程度アテがありました。

とある先輩から、API500モジュールを長年借りっぱなしでして、それを活用しようと思っていたのです。

API500モジュールとは

歴史的な由来はよく知らないので調べてあっさりと。

米API社のミキシングコンソールで使用されていた独自規格が、2006年に「VPRアライアンス」として他社も参入可能な共通規格としてまとめられました。

この規格にしたがって、各社がコンプレッサーやイコライザー、マイクプリアンプ、ディレイやリバーブなどさまざまなモジュールを開発して販売しています。

ユーザーは、これらのモジュールを自由に組み合わせて使用することができるというものです。

好みのマイクプリアンプにEQ、コンプレッサーをまとめてオリジナルのチャンネルストリップを作るもよし、キャラクター違いのコンプレッサーを集めて使い分けるもよしってわけです。

DTMではエフェクトはソフトウェアのプラグインを使うのが圧倒的主流ですが、API500モジュールはハードウェアです。プロのレコーディングスタジオに置いてあるようなアウトボードを若干身近にした、みたいなものでしょうかね。

ラック機材ってでかいですけど、AP500は下記の写真のようにコンパクトで見た目に楽しいですね^^

やっぱハードウェアってかっこいいですよね。これらの写真をみてるとワクワクしますね^^

借り物の詳細

これらは、とある先輩から借りてるのですが、全然日本に帰ってこない。使ってて良いとのこと。

先輩自体は音楽遊びに興味がなくなったようで、そのうち売ってお金にして返してくれるか、どっかで買い取ってよ、と言われていますが、とりあえず日本にいないし両方無視してますww

そもそも先輩がこれを買う時に、モジュールはほぼ自分が選んだみたいなもんなんで、そのうち買い取ろうとは思ってますけども。。。

さて、これらは非常に良い機材なんですが、スペースや設置の問題でこれまでほとんど使えてませんでした。

順番に紹介すると、一番左が、Rupert Neve社のPortico 543。コンプレッサーです。

真ん中がAMS NEVEの1073LB EQ。イコライザーです。

そして右のイカついのがShadow Hills社のDual Vandergraph。ステレオコンプです。先に言いますが、このDual Vandergraph。これはすごい。めっちゃいい。

Rupert Neve Portico 543 コンプレッサー

高機能なコンプレッサーです。さまざまな設定が可能でいろいろ出来る感じですね。

これは自分が使いこなせてないのかもしれませんが、なんか、、、普通。

というのも、通しても特に音は変わらず、ちゃんとコンプは効く。なので便利なのですが、なんかわざわざ使ってる感が薄いというのでしょうか。

すごく便利で良いコンプなんですが、特にクセみたいなものを感じない。

それは高品質だと言うことだし、ナチュラルだとも言える。

でもだったらプラグインの方が便利な分だけいいかな、と思ってしまいます。アナログ機器を通す醍醐味って、その機材特有のクセを付加することだなあ、と今は感じるので、原音が変化しないナチュラル系ってちょっとつまらない。

まあしかしそれは自分がまだこの世界がよくわかってないから、、、かもしれません。違いを聞き取る能力に欠けてる可能性は十分あります。

AMS NEVE 1073LB EQ

この1073は、UAD2のプラグインでよく使っています。

レコーディングギアにおいて、NEVEの1073というのは定番中の定番でヴィンテージは大変高価で価値のあるものらしいです。

DAWにギター録音した後に、この1073を通してハイをちょい足しするだけで音が活き活きしてかっこよくなります。

さてそれの実機版と言えるAPI500バージョンの1073LB EQは、プリアンプを外してEQセクションだけになっています。

これはまた改めて動画にでもしてみたいと思いますが、とりあえず言葉で自分の感想を述べるとこうです。

実機は非常に滑らかな感触。だが、UAD2はよくできていて、結果的には似た音になる。

つまみを同じような位置にすると、A/Bテストで聴き比べても自分の耳では大した違いが感じられません。

一方でいじってる最中の肌触りというか、感触は全然違う。実機の方がはるかに良く感じます。

またブーストもカットも大きな量をかけていくと、実機の滑らかさが際立ちます。プラグインはちょっとざらついてくると言うかピーキーな感じがします。荒れてくる感じがある。実機はむしろそういう状況でテイムされて、痛くならない感じがあります。

でも、つまみ位置を同じにして録音したものを聞き比べると大した違いがないのがほんと不思議ww

ただそれでも、操作感と滑らかさにおいて大きな違いを感じるので、この1073LB EQは「わざわざ使う」価値、意味はあると感じました。

Shadow Hills Dual Vandergraph ステレオコンプ

結論ファースト。

これはいい。

すごく良い。

これはプラグインにはない質感をもたらしてくれるので、わざわざハードウェアを使う価値があるどころか、積極的に使用すべきものだと思いました。

通すと、グッと重心が落ちます。そしてパンチがでます。

ドラムに通すと、キックの迫力が増し、スネアやハットのパンチがまして、全体的に元気になります。

ギターに通すとまとまりがでてガッツが出る。

そんなに細かい設定はできないです。方式はVCAですが、オプティカルコンプのようなスローアタック・スローリリースです。ですので、やったことないけど、多分ボーカルとかにも合うんじゃないかなあと思います。

これに通すだけで、単純にひとまわりかっこよくなるというマジカルな機材です。これはすごい。本当にすごい。

そして見た目もかっこいい。実際の音を録った記事を下にリンク貼っておきます。

このShadow Hillsってメーカの製品は全部かっこいいです。同社のフラッグシップモデルがこれです。

Shadow Hills Mastering Compressor

なんじゃあこりゃあ!くそかっけえ!!巨大!スチームパンク!

このコンプはUAD2版もあって自分も使っています。2段コンプになっていて、1段目がオプティカル。2段目がVCAタイプです。

で、Dual Vandergraphはこの2段目のVCAを簡略化して抜き出しようなものっぽいです。デザイン的に共通点がありますね。かっこよす!

アウトボードの魅力

ハードウェアのアナログエフェクターにはアレと同じ魅力があります。

そう。

真空管のギターアンプ。

真空管アンプに通じるロマンがあるし、真空管アンプとモデリングアンプとの音の違いみたいなのがあります。

そしてPCの画面上にアンプが表示されるよりも、目の前に実体としてのアンプがある方が迫力あるのと同様に、ハードウェアのモノとしてのかっこよさってのがありますね。

ちなみにアウトボード右に置いてある古代の馬みたいなのは、近所の雑貨屋さんかあるいはルーブル美術館のお土産ショップで買ったものかのどちらかです。忘れた。多分近所の雑貨屋。

これもデスク新調をきっかけに、USBコードの番人としての役割を与えられました。

この隙間にUSBハブとコードを押し込んでるのですが、なんか目隠しがあった方がいいかと思い、どっかに転がっていたこれを置いてみました。特段おしゃれではないが、他に置くところもないので。。。ほんとは高さが合ってフタみたいになればいいんですけどね。この空きサイズにあうロゼッタストーンとかないかな。

話がずれました。

アウトボードの利点と感じたこと

こういうアウトボードって本来プロ用の機材であり、私なんぞはお呼びでないのですが、実は、自分のような単なる趣味の一般愛好家にとっても、アウトボードを使う利点というのはあると思いました。

それは、、、

実機ってどういう効き方するのかが、明らかにプラグインよりわかりやすい、ということ。

特にコンプ。

コンプってどう使うのか、何が変わるのかわかりにくいエフェクターだと思います。DAWでいじっててもアタックもリリースも何がどう変わるのか最初はわかりにくい。

ところが、アウトボードのコンプレッサーってすごいわかりやすいです。効果がどういうわけか掴みやすい。EQも同じ1073使ってても、実機の方が変化がわかりやすいです。

なので、実は初心者こそ逆にアウトボードから入った方がいいのかも、、、と極論ですが思いました。

アウトボードもめちゃくちゃ高いのから、数万円とプラグインと変わらないようなものまでいろいろありますね。これなんてステレオで使えてコンパクトで、評判も良さそうですね。

アウトボード使うことでプラグインの操作がわかるようになった、とも良く聞きますが、全く同感です。

ソフトのプラグインってハマるといろいろ欲しくなっちゃってBlack Fridayあたりで散財する方は多いと思いますが、一回アウトボード試してみるというのは良いんじゃないかな、と思います。

これは底なしの樹海

いやあ、、、

上で紹介した機材、もう何年も家にあったんですよ。でも数えるほどしか使ってなかった。

それはスペース的な問題や、配線のアクセスがめんどくさすぎて、なかなか日常的に使うかんじにならなかったのです。

しかし、デスク新調によって、全てが変わった。ラックスペースはあるし、オーディオインターフェースの裏面に回るのもなんの造作もない。

そこでほぼ封印状態にあったこれらを引っ張り出してきて以来、あれこれ試してるのですが、これはやばいですね。楽しい。Shadow Hillsの良さは前からわかってましたが、他のもここ最近で理解がすすんだ。

・・・

・・・

こうなるともう他のがどんな感じが知りたくてしょうがなくなります。

特にプラグインで気に入ってるやつの実機がどうなのか。いろんなところでリファーされている有名な定番機種がどんななのか。

興味がつきない。底なしですね。樹海ですw

コメント

  1. 力士こうた より:

    レコーディング用のアウトボードってロマンがありますよね。キラキラしたLEDやら整然と並んだツマミの数々…。ホントに見てるだけで楽しいですよね。
    私もDRAWMERの1960持ってますが、今修理中で…。
    でも金欠病なのでそのまま売ってしまいそうです。
    高いんですよねー。いろんな意味で…。

    • nico nico より:

      そうなんですよね、ロマンですねー^^
      あと、記事に描き損ねましたが、両手でぐりぐりいじれるのはプラグインにない利点でしすね。

      やっぱりハードだと故障とかメンテとか、、、ありますよねえ。困った^^;