少し前の記事にいただいたコメントで、サスティーンの違いの話がありました。
というわけで、手持ちギターによるサスティーン選手権を開催してみました。
録音してどのギターのサスティーンが長いのか検証
ギターからオーディオインターフェースに直結して、ローコードのGをじゃらーんとやって録音してみました。
で、完全に音が消えたところで止めて長さを比べてみました。結果は、、、
画像だと見えないか。
さて、「サスティーン長いランキング」はこのようになりました!
検証方法
ギターとオーディオインターフェースを直結します。
ローコードのGを6弦に弦を当てた状態から、ただじゃらんと鳴らします。
拡大してそれぞれの音の開始位置を合わせます。
聴いた感じの音量を揃えるため、ピーク音量を一致させます。
その上で、音が「完全に」消えるところでストップします。
その長さで比べたのが上のランキングです。
当然、厳密な検証にはならないです
毎回ストロークの強さは変わってしまいますので、まあ厳密な検証にはならないです。
ピックアップと弦の近さによっても振動は影響を受けると思いますが、別に高さを揃えてませんので、それによる有利・不利もあると思います。
多分、レスポールとCustom24は弦高が他のギターより低いので、ピックアップとの位置も近くなってる気はします。
また、耳で音が消えた点を特定してるので、これもいい加減ではあります。最初、波形で確認しようとおもったのですが、最大に拡大して波形が何も無いように見えても、実際の音はまだ鳴っているので、波形ではなく、耳判断としました。
という、まあ不完全な検証ではあります。
ただ、これを4回繰り返しました。
4回やって、概ね同じ結果(多少入れ替わる部分もあった)だったので、まあ、現時点のセッティングにおいてはこういうことなんだろうとおもっています。
ドラゴンはいつまでもじんわり鳴っている
ランキング1位の35th Dragonと30th Dragonですが、ほとんど音が消えたような状態になっても、ずっとじんわり鳴っています。その結果1位2位になりました。
ただまあ、じんわり鳴っているのでサスティン長いという意味では長いのですが、そのじんわり鳴ってる領域は、実際の演奏という点ではまるで意味なしです。
3位のモダンイーグルですが、4回中1回は1位でした。モダンイーグルのサスティンはドラゴンと遜色ないと思います。
4位の594も1回は1位になりました。これ、後で書きますが、594は「有効なサスティーン」という点ではかなり強かったです。
ランキングその2。有効サスティーンという観点
さて、最初のランキングはとにかく、完全に無音になるまでの時間を計測したものです。
しかし実際の演奏においてはそんなに伸ばすことは無い気がします。どんだけ伸ばしてもせいぜい2小節くらいじゃないですかねえ。BPMにもよりますけど。
今回の録音はBPM120(Logicのデフォルト)なんですが、2小節だとそんなに変わらないというのもあったのでもう一息長くして、3小節伸ばしたところで、どれくらい実際の音として強いか、というのを計測してみました。
これも聴感上のものなのでそんなに正確ではないでしょう。一応ミキサーのピークはみたのですが、まあおおよそ一致してるという感じですが、完全一致ではないです。80%くらい一致してるという感じですかね。
さて、有効サスティーンのランキングは、、、
上の写真ですが、色が同じものは、ほぼ差がないということです。つまり、1位はモダンイーグルと35th Dragonでした!
モダンイーグルは、最初のランキングでも上位でしたし、あんまり意識したことないですが、サスティン性能高いです。
一方の35th Dragonも同様です。この2本は実際に演奏で使う「かも」しれないロングサスティン性能において同じくらいだと思います。
1位が2本ありますので、次は3位ですね。でも気持ち的には3位ではなくて2位。ですので2位とします。2位はSuhrと594と30th Dragonでした!
実は、3小節後、ミキサー上で最も音量が出ていたのはこのSuhr Pete Thorn Sig.でした。実際にじゃらんと鳴らしても、おお、これはサスティンあるな、という感触でした。ただ、弾き方のばらつきのせいか、低音だけが鳴ってる感じだったんですよね。有効な音という意味ではモダンイーグルと35thドラゴンが際立っていたと思います。
でも同率1位としても良かったかなあと、、、まだおもってます。それくらいの感じです。
594もかなり有効サスティン性能高いです。
ここからちょっと差がついて3位がCustom24です。
これ意外なんですよね。。。多分なんですが、弦とPUが近いからかなあ、、、となんとなくおもってます。PUの磁力で弦振動がおさえられてるのではないかと。
まあ、長さで見るとランキングの通りですが、しかし実際のところ、弾いていてサスティンの不足など感じたことありません^^
同じくかなり差がついて4位がJP。
以前比べた時も、明確にCustom24よりはサスティンなかったですね。
ただ、実用においてサスティン不足など感じたことありません^^
そしてだいぶ大きく差がついて5位Jazzmaster。
これは聴感上も実際に弾いた感触からも画面上の波形のグラフィックからも、明確に他のギターに比べてサスティンありません。
サスティンあるなしはギターの良し悪しとは無関係
いやー、面白かった。
ただ、自分としては書いておきたいのは、限界サスティンの長い短いが、ギターの音の良い悪いとはあんま関係ないということですね。
シンセの音色のパラメータとしてエンベロープというのがあり、一般的なエンベロープはアタック/ディケイ/サスティン/リリースと言ったりしますね、ギターではあまりエンベロープという文脈では語られないと思いますが、当然ギターの音色にもエンベロープがあり、個体によってアタックが強いのもあればサスティンが長い短いもある。
エンベロープ特性は単にそのギターの個体の個性であるというだけかと思います。
サスティン短い=悪いではないし、サスティン長い=良いギターということでもないでしょう。
すごい昔にこんな記事書きました。
Private StockのCustom24よりSEのほうがサスティン長いというww
なんとなくサスティンが長いと、組み込み精度が高くて良質みたいなイメージありますね。なぜなら振動を阻害しないから。振動を阻害しない=良い音というロジックでしょうか。
これは個人的な意見ですけど、組み込み精度高い=サスティン長い=振動を阻害しない=良い音、というロジックは疑わしいとおもっています。
いや、疑わしいというより、その理論的な根拠を知らないというのが正しいかな。
まあ、仮にその仮説が正しいとしても、サスティン長いギターは良い音、、、というか自分が好きな音になるのか、というとそれはまた全然別の話かと思います。ギターの音の魅力の一部は、雑味にあるような気もするから、むしろ適度に雑で適度に振動を阻害したり揺らしたりした方がいいんじゃないかとすら思う。
ともあれ、特定の部分の特性を比較したところで意味がなくて、単純に弾いてみて自分が気にいれば他のことはどうでもいいだろう、、、というのが自分の個人的な意見ではあります。
なのですが一方で、こうやってわざわざ比べてギターの個体の違いを視覚的、数値的にあぶり出すこと自体は好きでちょいちょいこういうのやってしまいますw
コメント
興味深い検証ですね。
数値化されると分かり易いです。
ドラゴンは凄いですね!
違うタイプでも近い結果がでるとは不思議です。
私のモダンイーグルはPSでは無く、普通の物ですがやはり長いです。
同じボディーではネックがマホガニーとブラジリアンでは同じ印象です。
勿論、トーンは違いますが、サスティーンは変わらない感じです。
ボディーとの兼ね合いで決まるのでしょうか?
私のレスポールはPRSと比較してサスティーンが短い印象は無く、コンバージョンはむしろ凌いでいます。
サスティーンが長い=良い音では無いのは賛成です。
それでも長いと嬉しいです。
わかります!サスティン長いとなんか嬉しいですよねw
レスポールとCustom24のサスティンが他と比べて短めなのは、多分PUとの距離が他と比べて近いからだと考えています。PUとの距離も測ってみるかなあ。あるいはPUからの信号ではなく、ボディ部の振動でみるとか・・・