(ネタバレありなのでまだ試合結果知りたくない人は引き返してください)
コロナ下でスパーリングパートナーも呼べない、練習も不自由、海外の試合、パッキャオのような真のスーパースターへの新たなスタートとして周囲の巨大な期待を背負いながらの聖地ラスベガスデビュー。
そして相手はタフでテクニックとパワーを併せ持つジェイソン・マロニー。井上は、「倒し切ることが必要」とKOを宣言していました。
井上が負けるとはもとより思っていませんが、これだけの巨大な重圧の中、相手もKO率85%でわずか1敗の強い相手。ちょっとした何かで強いパンチをもらっておかしくなることだってありえます。
「モンスター」井上尚弥だってまだ27歳です。気負ったり、迷ったり、緊張したりもするでしょう。人間だもの。
ところが、ところが、さすが世界のトップアスリート。7RでKOという最高の結果で勝利を飾りました。やはりすげえ!
試合の感想
1Rはマロニーが比較的前にでて、井上がやや下がるも、圧力は拮抗しておりました。井上がガードを掻い潜るジャブ、ボディを当てていることで、自分採点では10-9井上。
2Rは井上の圧が勝り始め、井上が前にでてマロニーがやや下がる、回るという展開に。大きな展開はないものの、井上のパンチが適宜ヒット。ここも井上のラウンド。
3Rはさらに井上の圧が高まりました。強打もときおりあたり始める。一方で、マロニーも結構当ててくる。井上の出鼻を叩くジャブや、身体をくっつけての接近戦のボディ、フックなどは結構強そう。しかし全体的には井上のラウンド。
しかし、ここまでみて思ったけど、やはりマロニーは強い。ガードが堅く、井上のコンビネーションをもらいません。井上相手に優勢には立てないものの、しっかりパンチも当ててくるし、やはりかなり手強い相手だなあという印象。
4Rに入ると、かなり井上ペースに見えてきた。そしてついに井上の強烈なボディが炸裂。後退するマロニー。これは効いたように見える。しかしそこから崩れることなく、接近戦で井上にパンチを当てていく。
井上ももちろん反撃しているが、マロニーのボディやフック、アッパーの方が印象が良い。これはインファイトに長く付き合うと危険ではないかと思ったが、終盤、井上の攻撃がヒット!このラウンドは難しいが、どっちかというとマロニーの方が印象が良いので、9-10 マロニー。
5Rは、前ラウンドの後半の良い感じのままにマロニーが攻勢。マロニーの右フック強打が井上にヒット!ガードを固めて後退する井上。これはちょっと効いたように見えます。しかし、足元がふらつくようなことはなく、目も大丈夫。
しかしあの井上なのにもかかわらず、亀になってしばらく耐える様子。しばらくと言っても、多分数秒なんですが。数秒間が長く感じたw
しかしそのあとは盛り返しましたし、ダメージの痕跡はなさそうではありますが、全体的にマロニーペースの印象でこのラウンドもマロニーなのか?と思ったところで、井上の強打炸裂!マロニーは井上の首に手をかけて強引なクリンチ。MMAのフロントチョークのような感じで上から押し込む。こういうのも地味に相手の体力を奪うと思う。
結果、井上が相手の強打を喰らうシーンがあったものの、トータルでは井上のラウンド。
6R開始。井上のカウンターが入り、マロニーダウン!あとでスロー映像流れた時に見ると、このカウンターもすごいです。WOWOW解説でも説明されていましたが、マロニーのジャブ2連発の2発目に合わせてカウンター打ってます。
ダウン後、一気に畳み掛けるかとおもいきや、マロニーがそうさせない。上手いし強い。まだまだ崩れないです。井上の出鼻をつくジャブや、ボディ、フック、アッパーなど随所でパンチあててきます。
確実に井上優勢ですが、あの井上のパンチをもらってダウンしながらもすぐ回復してくるあたり、やはりタフ。井上が明らかに相手を上回ってきましたが、このタフネスをみると、ひょっとしてひょっとしたら判定までいくか・・・?と頭をよぎりました。
7R開始。
ちょっとこれまでのラウンドと様子が違います。井上がガードを下げ、相手を回るようにしてジャブを突く。少しリズムを変えてきていますが、このジャブがいい感じにヒットしています。マロニーもパンチを返す。
ちょっとこれまでのように井上が強い圧をかけるスタイルではなくなりました。せっかく前のラウンドでダウンを奪っておきながら、若干スローダウンしたように感じました。解説で、ラウンド開始前に足を叩いていたという話もあり、もはやどこか怪我?という心配もしてしまいました。
ただ、フットワークも良さそうで、特に異常は見受けられない。前半のように強いプレッシャーかけて攻撃で押し込んでKOを狙うスタイルをやめ、もう少しジャブ主体で削りつつポイントとって、後半勝負ということだろうか?
と思ってみてたら、右ストレートの物凄いカウンター一閃!!!!マロニーが膝から崩れ落ちます。
これは立てない!やはり10カウントが進みますが、マロニー立つことができず・・・!
井上尚弥が7RでKO勝利。ベルトを防衛しました。
フィニッシュの右カウンターが恐ろしい切れ味
試合後のスロー映像で、フィニッシュのカウンターが何度も流れましたが、もう、本当に物凄いですね。
相手に圧をかけ、攻め込んでいます。そして相手が出てきたところを、まさに紙一重で避けて真っ直ぐストレートを叩き込んでいます。
最近よく書いていますが、剣道の「攻め」がわかるようになってから、こういう格闘技のカウンターがよく理解できるようになりました。理合いは一緒だと思います。
カウンターを打つには待っててはダメで、相手のパンチを見るのでもなく、相手にパンチを出させる、動かす、使うということが必要なはずです。パンチそのものをみて避けたり打ったりしてるわけではなくて、その技の起こりを捉えて上に乗る感じだと思われます。
井上のこのカウンターは理想的な一発じゃないでしょうかね。相手に圧をかけて、ステップワークや肩の動きで攻めています。そして相手のフェイント、攻めも我慢して、いよいよ相手がうちにくる技のおこりを捉えてカウンターを打ち始めます。相手の攻撃は紙一重で避けて、身体をぶらさず真っ直ぐ前に力みなく踏み込み、真っ直ぐ撃ち抜く右ストレート!!
前に圧をかけて出てきたところを、抜く感じのカウンターではなく、前に圧をかけて相手が出てきたところをそのまま自分も真っ直ぐ前にいくカウンター。これは絶対効くし、めちゃくちゃかっこいい。
剣道でも圧かけて出てきたところを抜いたり応じたりするカウンター(カウンターとはいいませんが)よりも、そのまま上に乗っかって相面で上から叩き割る1本のほうが良いですね。剣道にダメージの概念はないですが、格闘技のようにダメージの概念があるとすれば、抜いて打つ一本より、こうした前に出て上から乗る一本のほうが確実に殺傷能力高いでしょう^^
ともかく井上尚也のこの一撃は、相手のパンチが先に出ていますが、実際に先をとっているのは井上です。出なければこういうパンチは打てないはず。
まとめ
とはいえ、マロニーも強かった。やはり戦前の井上のコメント通り、全てできる選手で全てレベルが高い、というまさにそういう印象。
井上はあっという間に世界王者になってますから、キャリアの試合のほとんどが世界戦なんですよね。。。ほんとすごいな。井上の場合、世界王者クラスじゃないと全く相手にならないし、そういう相手でもなぎ倒してしまうほど強い。
パッキャオのような本当の本物のスーパースターになれそうなのが、同じ日本人というのが誇らしいですね^^
次戦、ウーバーリ vs ドネア の勝者とWBCタイトルをかけて対戦するのが濃厚みたいですね。が、やはりここはカシメロとの一戦を先に見たいかな。
村田さんも言ってましたが、やはり井上の相手としてより怖さがあるのはカシメロです。KOするか、KOされるか、という迫力のある試合になりそうです。まあでも井上は打たれ強さもあるからなあ。。。ドネア のパンチもらって倒れなかった。でもカシメロはもっと若く、もっとパワーがあるかもしれません。
まあ、WBCとって、最後、Undisputed Championをかけてカシメロ戦だと、決勝戦感があっていいですね。あれ?この場合、WBAのリゴンドーってどういう扱いになるんでしょうかね。
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