【詳細レビュー】PRS フロストバイト・ドラゴン【PRS Private Stock 35th Anniversary Dragon】

今年、2020年はPRSの35周年にあたり、NAMMショーでは様々な周年記念モデルが発表されていました。

最近は5年ごとに発表されているPRSのフラッグシップモデルであるドラゴンも発表されていました。

ボディにおおきくインレイの入った30th Dragonに比べて、初代Dragon Iを彷彿させるドラゴンがネックに入るデザインになりました。これはカコイイ!!

入手に至るまで、予想外の紆余曲折があったのですが、ついに舞い降りたフロストバイト・ドラゴン。

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35th Dragonのインレイ詳細画像

いろんなサイトでこのドラゴンの写真は出てきているのですが、ネックのドラゴンインレイについては超アップかあるいはディテールが見辛い引きの全体像かしかなく、不満でした。

そこで、4枚の写真を合成してネックの詳細巨大画像を作ってみました。800×4324ピクセルで3.6MBありますが、あえてそのまま貼り付けます。よく見るとあっちゃこっちゃ歪んでるんですが、自分が手で撮影してざっとつなぎ合わせたくらいだとこれが限界。

ヘッドの突き板、指板ともにうねりが見えますね。ジリコテという木材で、ローズウッドより重く、非常に硬い材だそうです。

ドラゴンが飛翔するのは、晴天ではなく、荒れて曇った天候なので、この際のうねりのイメージがマッチした、というようなコメントがポールさんが下記の動画でしてました。

歴代ドラゴンを紹介するナイスな動画。この動画内でポールさんが話しているのですが、当初、この35th Dragonの指板は白にするというアイデアもあったようです。白い指板のギターってなかなかみませんから、それはそれでみてみたかった気も。。。

今回のインレイでは、ドラゴンが縁取りされていますね。これは、ドラゴン自体を目立たせるためにこうした、と言ってますね。すごく手が込んでいて美しい。

ドラゴンのメインの身体を表しているのこの緑の素材はなんでしょうね。模様や色からスペック表にあるGreen Abalone Selectかと思ったのですが、光を反射せず、逆に光を吸い込む感じなので違うのかなあ、、、Abaloidといういかにも人口のアバロンみたいなネーミングの素材が記載されてるので、それかな?

ツノや爪は、グラデーションのかかった素材でできています。Stabilized Sand Shaded Hollyという素材なんじゃないかと。 Hollyというのは柊だそうです。多分、なんか加工してグラデーションを手でつけていますね。

ドラゴンの腹はよくインレイで使われる光沢があります。MOPだと思いますが、記載としてあるのはBlack Mother of Peralです。これ、Blackと言えるのだろうか。それともGreen Ripple Abalone?

ボディ真ん中から上部にみられる、赤・黒・わずかにまぶされる白の複合素材みたいなのはなんでしょうねえ。Black and Red Raffir Aluminim Waveというやつだろうか。なんとなく名前的に。

ざっと調べたら多分まちがいないです。これですね。

Raffir - Stabilized Wood, Stabilized Fossils & 3D Composites
Want to bring that extra edge to your products? Raffir offers a beautiful variety of stabilized wood, fossils and compos...

このRaffirって会社名であり、Raffirというブランドの素材なんですね。Raffir Wood(木材)、Raffir Fossils(化石)、Raffir Composites(複合材)の3カテゴリの素材を提供しているメーカがあるようです。見てるとかっこいいです。この素材でできたギターもあるようですね。

Raffir - Stabilized Wood, Stabilized Fossils & 3D Composites
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この赤い素材はおそらく、Red with Gold Vein recon stoneというやつっぽい。recon stoneというのは、多分ですが、reconstructed stonesということで「再生石」とでもいうもののようです。「金鉱脈つきの赤い色の再生石」と直訳でなりますが、本当の金かというとさすがにそれは疑わしいですね。金の鉱脈っぽいラインが入った、、、くらいの感じかな?

頭にもどってドラゴンブレス部分。これは人工の鉱石っぽい感じがしますね。Blue Pacific, Citrine, Flame Synthetic Opalとあるものでしょうかね。

ヘッドの鳥は炎に焼かれて黒焦げになってますw これも光沢がない素材で、スペック表によるとAbaloidとBlack Raffirとあるのでやはりドラゴンのボディのメインの素材はAbaloidというものですね。

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カラーはFrostbite Dragon’s Breath

今回の35周年ドラゴンは、1カラーのみです。カラー名は、フロストバイト・ドラゴン・ブレスという厨二心をくすぐるかっこいいカラーリング名ですね。

チャコールベースのドラゴンブレス塗装です。ドラゴンブレスというカラーは、ネックピックアップからボディエンドに向けてドラゴンの炎の息がブワッと広がるようにグラデーションするカラーリングですが、上の写真だとわかりにくいです。下の写真のほうが若干ですがグラデーションの感じはわかりやすいかも?

今回のDragon 2020は、比較的、杢が直線的な個体のほうが多い印象ですが、私の個体はチリメンとまではいかなくても、割と揺れてるトップです。

ハードウェアはブラッククローム仕上げとありました。確かに上の2枚の写真のテールピースをみてもらうとわかるのですが、光の加減によって、ブラックな感じになりますし、普段も、通常のシルバーの光沢ありのテールピースに比べて落ち着いた色調です。

全体のカラーリングとマッチしていて、私はこれ、非常に良いと思いました。

モデルはマッカーティ

35th Dragonのモデルはマッカーティです。なんとなく、今回のドラゴンは594でくるかと思ってたのですが、予想外れました。

インレイのデザインといい、初代ドラゴンIのオマージュ的な雰囲気も感じますね。私見ですが。

ピックアップはTCIピックアップですね。TCI Treble、TCI Bassがついています。

ハムバッカーですが、やや細みで湾曲したような形状です。以前Paul’s Guitarに搭載されていた408みたいな形ですね。

したがって、交換は基本無理ですね。

このピックアップの音の特徴とかは比較対象がないのでよくわからないのですが、一点だけ言いたい。

それはコイルタップが非常に優秀だということです。

PRSのピックアップは、コイルタップの性能にこれまでもわりと拘って開発してきた印象があります。新型が出るたびにコイルタップの音量差が減って使えるようになった!とアピールしてる気がします。

しかしこれまでの中で、このTCI Treble & Bassがダントツに良いと思いました。

ちなみにこれまでコイルタップで使ったことのあるPUは、59/09、57/08、58/15LTです。

58/15LTなんかは、コイルタップした時の音量の差やシングルPUのサウンド感が、前2つより全然良い感じになっていると思うのですが、TCI Treble/Bassはそれを余裕で超えている印象。

最近、シングル好きになってきたということもあり、非常に嬉しいポイントでした。

ボディバックはアフリカン・リボン・マホガニー。

これ、黒の塗り潰しに見えて実は微妙に違います。微妙にシースルーです。ですが、写真に写そうとすると反射ばっかりしちゃってどうもシースルー感を出せませんでした。

ネックですが変わった木材を使用しています。Chaltecoco(シャルテココあるいはチャルテココ)という木材のようであんまり情報がないですね。国内楽器店の説明文と、海外のあるフォーラムでちょっと話題になってるくらいでした。

どうもヴァイオリンや、PRS Collectionシリーズなどで使われていたフェルナンブーコと同属の木材で似た特性だそうです。

このネックも同様に黒塗り潰しではなく、一応シースルーなので、光の加減で赤身がかった木肌の感じがたまに見えます。

フェルナンブーコという素材は、耐朽性が高く、堅く重く粘りもあり、曲げ加工は可能だがいったん曲げたら元に戻らないという特性があり、かつ振動が減衰しにくいという音響特性を持ってるそうです。Chaltecocoが同じ特性持ってるとするならば、ネック材としてワクワクする特性ですね^^ 

ちなみにプロファイルは私が一番好きなPatternです。

指板は前に書いたようにジリコテ。

アウトプット・ジャックもちゃんとブラッククローム加工されています。

通常、シリアルは隠しますが、これについては半ば盗難防止も兼ねて晒す。Private Stockとして#8910本目ということですね。今年の7月13日のタイムスタンプが入っています。

ちなみにチューナーペグもジリコテのようです。ちゃんと真ん中に線のはいったもので統一しているようです。

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PRSドラゴンの値段と入手に至るまでのごたごた

NAMMで発表された時には値段が出てなかったのですが、その後、海外のサイトで価格が表示され始めました。

$16,000くらいと出ています。え。1ドル105円として168万・・・?

あれ?

思ったほどでもない・・・?

ギターとしてはとんでもなく高額ですが、とはいえ、予想よりはるかにリーズナブルだ。当然200万を超えてくると思っていました。

なにしろドラゴンはPRSのフラッグシップであり、歴史的モデルであるわけだし。。。

しかし16,000ドルだとすると、プライベートストックでもちらほら見る感じです。もちろん高いです。高いのですが、ドラゴンの別格感からすれば思ったより普通だなあ、と思ってしまったが最後、一気に買う気になってしまいました。

しかし日本に何本入ってくるかもわからない。そこで、海外のショップでも日本に送ってくれるか確認してみたところ、何店か送ってくれる、と。

しかもあるショップは、こっちが何にも言ってないのにかなりのディスカウントオファーをしてくれまして、結果的に送料・日本の消費税込みでもトータル160万円後半くらいになる計算になりました。これはもう、、、買うしかない、と心が決まってしまったのでした。

ですが、国内で買う方が何かと安心です。ですので、国内のとある大手ショップ数店にも問い合わせだけはしてました。

国内価格はその時点では未定でしたが、まあ海外の様子からしてそう大きくは変わらんだろう、、、と思っていました。

その後、国内入荷は10本ということがわかり、複数店舗で予約はできませんから、継続的に情報をくれていたとある店舗にお願いすることにしました。ショップから、KORGに伝えて確保は問題ないと言われたという連絡を受けたので、それからしばらくして、海外ショップのオーダーをキャンセルしました。

この時点で国内価格は未定。でもまあ、おんなじくらいだろうということでショップともこれくらいで、、、という握りはできていました。多少高くなってもコロナで大変だし、国内の楽器屋さんで買うのでいいや、という気分だったのです。

価格が確定してないことから、海外のほうもギリギリまでキャンセルしたくなかったのですが、海外の方が入荷が早く日本が遅れている状況で、入荷してからのキャンセルは悪いと思ったので、あるところで見切ってキャンセルしたんですね。

その1ヶ月後くらいになって、どうやらそろそろ国内に入ってきたっぽい様子だったので確認してもらったところ、

なんと、

なんと、、、

なんと、、、私の予約分が確保できない、、、ということが発覚しましたww

これはまじで晴天の霹靂。マジで予想外だった。え?確保できないってどういうこと??全部売り切れなんですか?と最初は思った。

しかも価格が高い。最終的に日本は税込み250万という発表がでました。これはお願いしていた金額と違いすぎるので、かりになんとか確保してもらったところでその金額で販売することはできないんじゃないか、、、とも思いました。

いやー、しまった。。。海外のオーダーキャンセルしてはいけなかった。。。

そして一口に海外と言っても、ヨーロッパのショップでは日本と同じような価格であり、16,000ドルくらいで販売できていたのは全てアメリカのショップです。

それももはや在庫が尽きかけている。。。やばい!

が、最終的になんとか確保することができました。当初予定のような金額ではありませんが、とはいえ、想定内レベル。国内で買うよりも圧倒的にお得だったということだけは言っておきます。

ちなみに海外で買うと、日本国内の消費税は総額の60%についてのみかかります。関税は楽器はゼロです。

というわけで、元の売価が圧倒的に安く、消費税も安くなるので、今回のドラゴンは価格面についていえば、アメリカのショップで購入するのが圧倒的に有利でした。

ちなみに、プライベートストックも含む通常モデルでは、ざっと見る限りそこまでの差はなさそうです。送料が数万かかることからも、消費税のメリットも相殺されちゃう感じにみえます。トータルで日本の方が安そうな個体も、海外の方がやすそうなのもありますね。

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音色について

さて音色についてですが、手持ちギターでは594と似てます。

ミドルが厚い感じですね。しかし594ほど低域がスイートな感じはなく、もうすこし輪郭のはっきりして整ってる印象。Custom24に比べてわかりやすくミドルに重点が置かれてます。

せっかくなのでこのギターを作ったデモ曲でも作りかけていたのですが、なかなか進まなくなってしまったので、それは今後のこととしたいと思います。

一回、ギタ友数名と一緒にスタジオにいって、弾いてもらいました^^

ゆーすけさんに弾かれるアイスドラゴンの図

この時に、PRSの他のギターとも弾きくらべてなるほどー、とか思ってたのですが、1ヶ月くらい前の話なので、ちょっと忘れましたね。。。

しかし音の出方の感じは塊感があって、そういえばモダンイーグルの「モカ」もこんな感じだったような・・・?ただし、モカはPUを57/08からThrobakに変更して以来、低域がタイトで音がゲンコツで飛んでくるような特性は薄れましたが。

指板がこれだけインレイに覆われてるのですが、意外に弾いてても迷子になりませんでした。

さて、このギターの名前は・・・?

5年くらい前までは、ギター買うとブログで呼称するためになんか名前つけてたんですよね。しかし、594以降、その習慣をやめてしまっています。

このドラゴンはどうしましょうか。。。

青い目をした氷結のドラゴン。。。

はっ。。。これは、、、

こいつ・・・?

似てるんじゃないか・・・?

夜の王に殺され、ドラゴンゾンビとなってしまったヴィセーリオンに。

元気な頃のヴィセーリオンは金色にクリーム色のドラゴンだったのに、夜の王に殺された後は青い目のブラックドラゴンに。まさにこれじゃないですか。

というわけでこのギターの名前はヴィセーリ・・・

いや、冗談です。流石に恥ずかしすぎてそんな名前で呼べませんww

ゲーム・オブ・スローンズの原作小説を今読んでるのですが、やっぱ面白いですね。ドラマでは特に前半、登場人物や関係性、世界観が掴みきれずよくわからんところもあったのですが、一回見終えてかつ小説まで読めばバッチリなので、ドラマの方ももうちょっとしたら見かえしたいです。

奥は緑っぽいのでレイガル。手前がヴィセーリオンか。
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かくしてドラゴン二頭飼いになった

30thと35thと2頭のドラゴンがいるので、あと一匹増えればデナーリスに追いつくことができます。

GOTでは、しばらくデナーリスの元を離れていたドロゴンが、デナーリスの危機を前に助けに還ってきます。私のドロゴンは還ってくるのか・・・?

・・・まあ、少なくとも還ってくることはないですねw 還ってくるというのは元々あったものが戻ってくるということですから。。。5年後の40周年にもおそらくドラゴンが発表されるでしょうけど、デザインと価格によってはドロゴンになるのかもしれません。。。

ちなみに過去のドラゴンは楽器フェアや個別楽器店でだいたい見たことあるのですが、どれもこれもすげーって感想。ただ、自分で買おうと思ったことはないです。

もっともドラゴン1だけは実機を見たことがないですね。ドラゴン1はちょっといいなと思ってますが、ほとんど出回ってないし、どうやらだいぶ価格も高騰してるようです。

これまでのドラゴン・シリーズで自分的に好みなのは30thと35thのみでした。30thについてはこちらにまとめてあります。

コメント

  1. PRS大好き より:

    オメデトウございます

    まさかのドラゴン2020とは!
    恐れ入りました。
    これでドラゴンが2本です。
    凄過ぎて平伏すしかありません。
    私ももっと精進します。

    と言う事ですが、先に購入したPS594 BrazilianがCITESの申請が遅れて未だに発送されません。
    待ちきれないのでもう一本PSを買おうかと思って居ます。
    何本でも欲しくなるのがPRSの悪い所です。

    • nico nico より:

      ありがとうございます!ドラゴンは装飾がすごいですが、音もすごく良くて、楽器としても相当良い感じです。30thはライブで2回使いました。かなり気を使いますが。。。
      さて、Brazilianは相当時間かかるんですね。せっかく購入したのになかなか来ないというのは辛いですね。お気持ち察します。
      本当にPRSは何本でも欲しくなりますね。興味深い仕様、素敵なカラーリングの個体がいっぱいありますからね^^