【プロローグ】ギターを失くす 夢を見た

今朝、ギターを失くす 夢を見た。

夢の内容はこうだ。

僕は地元じゃないどこかにいて

ファミレスのようなところで時間を潰していた。時間はお昼より少し前。10時半くらいだったと思う。

99レモンの入ったソフトケースと、どういうわけかエフェクターの入った箱(Deluxe Memory Man Tap Temp550の緑色の箱だった)を持ち運んでいて、それを横に長いファミレスの座席に置いた。

友人との待ち合わせ時間にはまだだいぶある。

コーヒーを飲んでゆっくりしてから移動すれば大丈夫だ。

そう。移動しなければならない。待ち合わせ場所はここではないのだから。

どこかよくわからないけど、ここから30分くらいのところだ。

とにかく、まだ時間はたっぷりある。

しかし、よく考えると、まさにこのファミレスこそが待ち合わせ場所であることを思い出した。そして待ち合わせ時間はもうすぎていることに気づいた。

でも大丈夫。

ちょうど2〜3分前に、待ち合わせの友人が到着し、その先のドリンクバーを廻った裏側の席に座ったのだ。お互いにちょうど良いタイミングで来たというわけだった。

こうして友人と合流し、ファミレスを出て、昼間の雑踏をあるきはじめた。

「あれ、お前、荷物どうした?」

しまった。自分の元々の席に置き忘れた。

でもたったいま店をでたばかりだ。1分も経っていない。問題ない。

自分の席に戻ると、すでに夜だった。

そこに荷物はなかった。それはそうだろう。何時間も経ったのだ。

嫌な予感がした。

お昼前後にいたスタッフは全員いなかったが、自分の荷物の特徴を伝えると、ああ、これですね。と店員が奥に行った。

ああ、たすかった!

でも、実際に助かったのは、緑色のデラックスメモリーマンTT-500だけであった。

でも、それでは・・・

息苦しくなった。

でも。それでは。

僕の大事な99レモンは?

一番、長く持っている、あの黄色の美しいギターは?

永遠に失われたという暗い予感と、一方で、きっとなんなくみつかるさ、という気楽な気分が同居していた。落ち着かないのに、どこか冷めていて、実に妙な気分だった。

そして目が覚めた。

外は春の嵐だった。

嫌な夢を見たものだ。

きっと、春の嵐のせいだ。

大丈夫。

大丈夫だ。

僕は何も失くしてなんかいない。

僕の大切なギターはちゃんとここにある。

・・・

でも、本当に?

本当にあるのか?

あるに決まっている。一体どこに行ってしまうというのだ。

ベッドから出て、自分の部屋を覗くと、そこに99レモンは存在した。

良かった。

やっぱり僕は何も失くしてなんかない。

大丈夫だ。

何も失くしていない。

・・・しかし実際には、

夢から覚めた現実の世界では。

何かを失うどころか、

増えているのだった。

to be continued…

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