含み益だけでは腹は膨れない
割安になった優良株を買う。まあそれは良いでしょう。
しかしですね、例えば100万円でA社株を買って5年で3倍になったとしましょう。めでたい。
しかし、含み益である200万円は手元にはないものです。ですので、200万儲かったと言っても、自分の生活は何も変わらないわけです。
含み益だけがあっても、現金ではないので、新しく株を買う事はできない。つまり、投資活動そのものを拡大する事はできないわけです。
いつ利益確定するのか
一般にバリュー投資戦略の場合は、株価が適正よりオーバーしたら売る、的なことが言われてるわけですが、本当にそれが最適なんだろうか??これが最近の疑問です。
例えば、3月から始動した私の米国株ポートフォリオは現時点で20%近くの含み益があります。コロナ問題はまだまだ終息の目処が経ってませんが、株価自体は4月に入ってから力強いです。
記録のために書いておくと、ここ最近の状況は(2020/4/30日あたり)こんな感じ。
- NYダウ 24,133,78
- 原油は協調減産がまとまったにもかかわらず、ETFのロールオーバーによる強制大量売りのため、先物は史上初のマイナスになった。
- しかし、原因が分かったのでいったん市場は落ち着いたもののまだ12ドルと超低水準にあり、原油貯蔵限界も近い
- 各種指標は、歴史的低水準。しかしマーケットはあまり悪材料に反応しない。
- ワクチン開発は治験が始まりだしたが、まだ具体的な成果はない。
- ヨーロッパやアメリカで、ロックダウンの段階的緩和が見え始め、なんとなく経済再開の期待感ある。
- 日本は緊急事態宣言中。5/6以後延長されるかが焦点。新規感染者数はやや減ったようにも見える状況
要は、世の中のコロナ問題は基本的に何も解決していないのですが、世界中の財政対策のおかげか、様々な悪材料に不気味に鈍感であり、株価だけは戻りつつあるという状況です。
まあそのおかげで20%近い含み益がありますが、こんなに不安定な状況なので、いつまたどかんと落ち込んでもおかしくありません。要はそのリスクをヘッジした方がいいのか、よくないのか、というのが疑問なわけです。
もし今、利益確定するとどうなるか
これについて、ぼんやりしてるだけでちゃんと考えたことがなかったので、ここで書きながら考えてみます。
まず今、全部売却する。すると、まあ株式がゼロになって現金が戻ってくる。利益は確定。めでたい。
で、次の行動はまた株を選定して買うと言うことになります。理想的な行動としてはピークで売って底で買うということになり、これが成功した場合は当然、持ち続けるよりも良い成果が出るに決まってますね^^
しかしそれってどの程度良い結果なのか?いい機会なのですこし考えてみました。
持ち続けた場合と売り買いした場合のパフォーマンス差
例えば、こんなチャートがあったとします。
ここに3人の投資家がいるとする。「持ち続けるマン」「完璧売り買いマン」「優秀売り買いマン」で、それぞれお金を1000持ってるとしましょう。
株価 | 100 | 120 | 150 | 110 | 90 | 140 | 150 | 130 | 145 | 155 | 180 |
騰落率 | 20% | 25% | -27% | -18% | 56% | 7% | -13% | 12% | 7% | 16% |
わかりやすくわりと値動きを大きくしてみました。
持ち続けた場合
で、持ち続けるマンは最初の株価100で10株買ってホールドなので、最終的に全部売却した際には、利益が800で税金20%として、1800ー160=1640ということになりますね。
完璧な売買をした場合
一方で完璧売り買いマンは、ピークで売って底で売るということに成功した人。
つまりこうです。
その都度のピークで売り、その都度の底で買うことで機会損失をなくすと言う行動原理からすると、このチャートにおいては完璧な行動と言える。
で、これを計算していくと、最終的な資産は2820となる。持ち続けた場合よりも1.7倍、資産が大きくなる結果になります。さすが完璧マン。
完璧ではないがかなり優秀な売買をした場合
最後にこれが「優秀な売り買いマン」です。上の「完璧」と微妙に違います。シナリオを解説すると、まず最初はピークで売れてますね。しかし底の手前で買ってしまいます。
そこからしばらく下がるのですが、我慢です。上がってきてもしばらく我慢。まだいくかなと思ってたところやや下がってきましたのでここで一旦利確。その後、株価は再度上昇に転じたとみたので買う。
この行動って、上のチャートをどういうタイムスパンでみても、「ありそう」な感じがします。しかもそんなに悪くない、優秀だといえる行動に見える。
がしかし、これ計算すると、最終的な資産は1904。持ち続けるのを1とすると、1.16。優秀な割におもったより差が出ないなと思いました。まあ、16%違いはおおきいですけどね。
リアルなケースでやってみる
しかし、この例は株価の変動がかなり大きいです。そこで、2019年の日経平均の推移でやってみました。各月の始まり値をとっています。
6.3% | 3.9% | -0.4% | 1.9% | -6.9% | 6.5% | -0.9% | -4.3% | 6.1% | 4.4% | ||
株価 | 100 | 106.3 | 110.4 | 110.0 | 112.1 | 104.3 | 111.1 | 110.1 | 105.4 | 111.9 | 116.8 |
そこに完璧売り買いマンが下記のように完璧な売買をしたとする。
2019年にこれができていれば機会損失は一切ないかのように思われますが、これを計算すると最終的な総資産は1287.5。持ち続けた場合は、1134.5。
つまり完璧マンは持ち続けた場合に比較して13%のアウトパフォームです。
ちなみに税金は20%で計算してます。売買手数料はゼロで計算。
次に優秀マンがこんな感じに売り買いしたとします。
シナリオ解説すると、最初の売りは前年のピークからやや落ちたところで、先行き不安から、利益確定したわけですね。その後、予想に反してさらに株価は上がりましたがここは我慢。
その後暴落したところで拾います。さすが優秀ですね^^
その後大きく反転したが、まだ行けると踏んでホールド。この辺が完璧マンとの差です。
その後2年続けて落ちてきた。どこまでいくかわからないので一旦保守的に考えて利益確定。わずかな利益でしたが、資産防衛を考えればプラスで終わったので良かったと言える。
その後、相場は強気に戻り、再び買い出動。。。というシナリオです。これ、全然ありうる感じだと思います。そして判断はそんなに悪くないようにみえる。
が、結果は、持ち続けるマンより悪いです。総資産は1123.4。持ち続けると1134.5ですからわずかに負けています。
個人的な考察
エクセルで作ったのでいろいろなパターンを試しました。
当たり前なんですが、ボラティリティが高い状態で、高い時に売り低い時に買えればそりゃあパフォーマンスは良いです。
が、ごく普通のボラティリティにおいてはその効果がどんどん減っていきますね。というわけで、現段階の個人的な考察としては、
長く持ち続けるのが一番良さそう
に落ち着いた。
そもそも完璧な行動をとるのはほぼ不可能だというのがあります。
優秀な行動ですらできない感じがします。正確に言うと、運良く優秀な行動が取れることはあると思うけど、取り続けられる自信は全くない。
時間を無駄にはしていない
最初の疑問は、100万円の元手よりも、120万円の元手のほうが同じパフォーマンスでも得られるものが大きい。だから、元手そのものを増やさないと効率悪いんじゃないか?だからある程度こまめに利益確定して、落ちたところを拾っていく方が良いんじゃないか?買ってそのままホールドは、下落期間において単に時間を無駄にしてるんじゃないか?
こういうことでした。
がしかしシミュレーションしてみて、そうでもないことに気づいた。上で書いたように「完璧に」やれれば別ですが。
当面の行動指針
目論んでたのは、コロナ問題はまだ未解決なのだから、これからも悪材料はでてくる。一旦、反転の勢いが削がれて落ち込むタイミングはくるだろう。だから今、利確しておいて再度下がったところを拾えばいい、というものでした。
が、これは思ったよりうまくいかない、ということがよく理解できました。相当運がよくないと。
というわけで、基本方針は買ったものは売らない。そして下がったら買う(買った前提が崩れてないとすれば)、でいきたいと思います。
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