ギター、車、洋服、、、様々な製品がある中で、お気に入りのブランド、メーカーというものは皆さんそれぞれあるかと思います。
こと時計に関して言うと、私はドイツのA.ランゲ&ゾーネというメーカーがダントツのお気に入りでして、このたび、サクソニア・フラッハというモデルのアヴェンチュリン・ダイアルバージョンを購入することができました。ついてはレビューというにはまだ日が浅いのですが、あれこれ気づいたこと、感じたことを書いてみたいと思います。
まるで星空・・・あまりにもロマンチックで萌えまくりの文字盤
もうこれ、宇宙でしょ。。。
大小さまざまな星がきらめいています。これが本当に奥行きすら感じられるような作りになっています。
3つめの写真なんか、文字盤上部がやや青みが強く、天の川のように見えたりもするのですが、これは文字盤のガラスへの光の入り方によってこう見えています。
この写真では最初の写真にあったような文字盤上部の天の川は見えず、逆に文字盤中央付近の黒が深い感じに見えます。
この写真では、右上1時方向から左下7時方向に黒い2つの線が入ってるように見えますね。これは多分窓枠かなんかの映り込みの関係です。
このように光の入り方によって文字盤は様々な表情を見せます。上は日中の光がある状態で、この時、文字盤は青が強く出てきます。
このビジュアルだけでも十分、星空感があるとおもうのですが、それだけではありません。
これ、本物の星のように瞬くのです。動くのです。
動くというか、光の入り方によって反射が変わるのでそれがまたすごい。百聞は一見にしかず。動画にしてみました。
白い星、青い星、赤い星、大きい星、小さい星、、、もう本当に星空。最後の方で机の下の暗いところに持っていってるのですが、その際に全体が黒くなるものの、一部の星だけ強く光ったりするあたりもいい。。。
このように光の入り方によって一瞬たりとも同じ状態ではない。素晴らしい文字盤です。
一般的にはアヴェンチュリン・ダイアルというらしい
この文字盤ですが、アヴェンチュリンという鉱物?ガラス?を利用しているようです。ざっと調べると自然のものもあるようなんですが、時計に使われるアヴェンチュリンというと、人工のもののようです。
いわく、13世紀にヴェネチアのムラーノ島で、ある職人が溶けたガラスの鍋の中にうっかり銅の粉を落としてしまったところから生まれたとのことです。
こうした一種の不純物が混ざることで、光を複雑に反射するようですね。
ランゲのブティックで聞いたところによると、ランゲでは、このアヴェンチュリン・ダイアルは100枚作って時計に使えるのは1/3くらいの歩留まりのようです。
クオリティの問題や制作時に割れてしまうなどで、なかなか歩留まりを高めるのが難しいようです。
さて、このアヴェンチュリン文字盤はもちろん他ブランドからも出ています。ただ、自分が見たことがある中で言わせてもらうと、、、
ランゲのアヴェンチュリンが最も美しいと思いました。
ポイントはきめ細かさと粗さ、奥行き、色彩のバランスです。
あるものは粒が細かすぎる。あるものは粒の量が多すぎる。あるものは色彩のバリエーションが足りないと感じました。
まあこれは好みなので技術力を示すものとはまた違うと思いますが、とにかく私はランゲのアヴェンチュリンが最も好みです。
はじめてランゲのアヴェンチュリンを観たのは、このリトルランゲ1ムーンフェイズでした。たしかコロナ中でしたが、ランゲの新作発表のディナー会みたいなのに呼んでいただいたことがあって、その際にこれの実機を見ることができました。文字盤の美しさにノックアウトされて、以来ずっと気になってたんですよね。
特にこのモデルは文字盤にあわせて時刻表示が星になってたり、とにかく綺麗だった。サクソニア・フラッハに比べると文字盤のベースの色がよりダークな色合いで、星空感はこのリトルランゲ1ムーンフェイズのほうが強いかもしれませんね。
あ、でもオーデマ・ピゲのCodeアヴェンチュリンも綺麗でした。ただ、パーペチュアルカレンダーモデルで文字盤の情報量が多いのですが、全体的に星空感が満載で宇宙好きとしては好きですね。
サクソニア・フラッハの魅力
サクソニア・フラッハというモデルは、いわゆる薄型のドレスウォッチです。秒針もなければ日付表示すらないというシンプルを極めてるモデルなんですが、意外に一周まわって今はこういうモデル、減ってる気がします。
現在はピンクゴールド、ホワイトゴールド、カッパーブルー(アヴェンチュリン)の3モデル構成ですね。
「サクソニア」というモデルにはフラッハ(薄い、という意味のようです)の他にもいろいろありまして、あのクロノグラフの「ダトグラフ」もサクソニアシリーズのようです。
さて、サクソニア・フラッハはいわゆるドレスウォッチなわけですが、ドレスウォッチの王様というか皇帝みたいな存在としてパテックフィリップのカラトラバが挙げられます。写真でみるとどってことない(失礼)ように思うのですが、実物は極めて優美。モダンな工業製品全般に言えますが、写真より実物見るとぐっとくるという典型のような素晴らしい時計ですが、現行品は日付表示がありますね。
日付いらない。。。
個人的な嗜好としては、こういうシンプル極めてるモデルは日付も秒針もいらない。まあ秒針はあっても良いかな。秒針が1秒毎にジャンプする”ジャンピング・セコンド”なんかだったりすると最高ですね。むかしランゲで1815のジャンピングセコンドのモデル見せてもらって買うチャンスもあったのですが、スルーしてしまったのがいまさらちょっと悔やまれます。
話が逸れました。
とにかく、時計としては最低限の機能しかなく、そのかわり薄くて軽く、そのため磁気にも弱いし防水性能も最低限にもかかわらず価格は普通に高価であるという意味不明なジャンルですが、とにかく上品さは際立っております。
もっともアヴェンチュリン文字盤はノーマル版に比べると控えめな上品さ、優雅さというよりは「遊び感」が出てくるのですが、ちょっと距離が離れると普通にダークな文字盤に見えたりもするのでドレスウォッチ的上品さという項目においてもぎりぎりセーフと自分では思ってます。
使用感について
薄くて軽いので付けてるの忘れます。
ふとした時に、あ、時計付け忘れた?(どこかにおいてきちゃった?)とヒヤッとして確認することが何回かありました。
そういう意味で、どっかにぶつけたりしちゃいそうだな、という怖さを感じました。装着時の違和感とか異物感みたいなものは自分としてはほぼゼロに近い感じです。
そして視認性はこれ以上ないくらいシンプルなので普通に良いとしか言いようがないです。文字盤のキラキラが針の視認性に影響を与えることはないですね。
巻き替えも心地よいカチカチ音が聞こえてきて気持ち良いですね。パワーリザーブは72時間と十分。巻き上げ回数自体、ランゲ1に比べて少ない回数で終わる感じがします。こういうの巻き上げ効率が良いというのでしょうか。
文字盤だけでなく裏面も美しい
裏面のムーブメントの仕上げ、美しさはいつもどおりのランゲクオリティということで文句なし。
しかしムーブメントを撮影するのほんと難しい。。。エングレービングや青焼されたネジ、ゴールドシャトンがきれいです。公式の写真載せちゃいます。
パテックフィリップのカラトラバと比較すると
パテックのカラトラバも超シンプルなデザインで、写真でみるとどうってことなく、価格をきくと絶対ありえない、、、と思ってしまうのですが、実物見ると実に優美で心惹かれるモデルですね。
現行モデルに関しては、日付表示がなければいいのに、、、と個人的には思ってます。
サクソニア・フラッハを体験してみると、もう秒針すらいらないな、、、と思ってしまうので、カラトラバで日付なし、2針とかあったらやばいですね。最も上でも書きましたが秒針は合っても良いけど。
さて、見た目でいうと、パテックはカラトラバに限らずケースにエレガントさを感じます。特にラグ周辺。
あの辺りの曲線な造形が光を反射すると実に優美。
対するランゲはケースについてはあまり面白みは感じません。もちろん作りはよく上質だと思うけど、なんというか普通。パテックのような優美さはない。またモデルごとに大体同じ、、、ではないのですが、同じ印象を与えるようなデザインである気がします。
ランゲの今後の改良点、、、としてケース周りのデザインというのはありな気がします。これまでのモデルを変更するというよりは新モデルでやってほしいけど。
さて、ランゲ&ゾーネはラインナップ的にも作り、技術的な側面からも個人的にはパテックフィリップと匹敵するブランドと思っています。
しかし、パテックよりも数倍、地味です。パテックよりも全然、一般知名度がありません。
ですので、ランゲ1ムーンフェイズやオデュッセウスなどを付けていてもそこに対するコメントがくることは滅多に無いです。ですので、他人からある程度気づかれたいというニーズがある場合はランゲは現時点では合ってないかもしれませんね。
私は気づかれれば時計の話できるので嬉しいけど、気づかれなくても全く構わないし、よく気づかれるということは派手すぎたのかなと思ったりもするので、どちらかというと気づかれないほうが好ましい、、、くらいかな。
ブランドのロゴがどーんと載ったような服は着れない、というのと同じで、一見普通だけどよく見るとすごく上質、という感じのほうが好みなのでランゲ&ゾーネはその点でも自分の嗜好とマッチしてると感じてます。
しかし、このサクソニア・フラッハ・ゴールドストーンはキラキラしてるのでちょっとは気づかれることが増えるかもしれませんw
まとめ
この時計はなんといってもアヴェンチュリンの文字盤の美しさが気に入るかどうかでしょう。
私はもちろん気に入ったわけですが、そもそもサクソニア・フラッハのシンプルで端正な佇まいはすごく良いですね。
買うまでは、2針、あるいは3針のシンプルすぎる時計って面白くないのでは、、、と思うところもあったのですが、上質な時計であれば目立ちはしないけどなんかしっとりとした満足感があります。
正直、普通の文字盤のもちょっと欲しくなってしまった。やはりアベンチュリン文字盤は遊び心みたいなものがありますので、本当に真面目に端正にしていきたいという場に100%マッチするとは言えないからです。普通の文字盤なら、ジャケットとシャツを着るようなシーンであればどこでも完璧と言えるとおもいます。
というわけで普通の文字盤もいいなあと思いかけていますが、さすがに同モデルはもったいない感じがするので、それだったらリヒャルト・ランゲのほうに、、、いや、ドレスウォッチはあるんだから全然違う路線。以前から憧れのツァイトベルクを、、、なんて考え始めるのが時計沼の恐ろしさですね。
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