最近のブログのGoogle Analyticsをみていたら、本記事が安定的に検索されてることに気づきました。ちょっと内容的に物足りないところもあったのでリライトして見ました。
物理的な接続方法
まず全体の物理的な結線をどうやっているかまとめて見ました。
矢印とコメントを丹念に追っていただければ、どう繋いでいるか追えるかと思います。
モニターへの出力
オーディオインターフェースのメインアウトを、モニターに直接繋がず、ミキサーであるSSL SiXの「外部入力」に入れています。
これにより、PC上のすべてのサウンドはミキサー経由でモニタースピーカーに流れていきます。
さらにミキサーに繋いだ楽器、上の図の場合マイクやKemperですが、これもミキサー内部でPCの音声と混ざり合ってモニタースピーカーに出力されていきます。
このSiXの接続についてより詳しくはこちらの記事を参照してください。
DAWへの録音について
上の接続図をもう一度見てください。SiX(ミキサー)のメインバスアウトをオーディオインターフェースのLINE IN1/2に繋いでいます。
つまり、DAWのインプットを1/2にすることで、SiXに入力されたサウンドをすべて録音することができます。
マイクで撮った音やKemperのサウンド、こうしたものは全てSiXからオーディオインターフェースのINPUT1/2に流れ込んでくるので、それを単に録音するだけです。
この時、オーディオインターフェースのメインアウトをSiXに繋いでいるのでループするのではないか?と思うかもしれませんが、大丈夫です。
なぜならオーディオインターフェースの出力は、SiXの外部入力に繋いでおり、この外部入力はメインバスアウトに含まれないからです。つまり、一緒に音は鳴る(モニターアウト)ものの、録音はされません。録音されるのはメインバスの音声だけです。スピーカーがつながっているのはモニターアウトの信号で、これはメインバスアウト+外部入力も含まれた全ての音声です。
これも詳しくはこちらの記事を参照してください。もっと順をおって丁寧に書いてますので。
アウトボードの接続
API500モジュールをはじめとしたアウトボードはどう繋いでいるのか。また同じ図を出します。
上の図で言うと、アウトボードは右下のMassive Passiveと、オーディオインターフェース直下にAPI500モジュール3つがあります。
Massive Passiveはアウト5/6から繋いでます。Massive PassiveからのアウトはオーディオインターフェースのIN5/6に戻しています。
API500モジュールたちには、オーディオインターフェースの7/8アウトから、まずEQである1073LBEQに繋いでます。そのアウトからコンプレッサーであるPortico543に。そのアウトからShadowhills Dual Vandergraphに繋いで、そのアウトはオーディオインターフェースの7/8インに戻しています。
API500モジュールは直列に繋いでますので、信号は1073→543→Dual Vandergraphと通っていきます。使わない時はバイパスするのですが、信号自体は機材を通ります。
これの影響がどれくらいあるか、ケーブルを繋いだり繋がなかったりして試したのですが、自分の耳ではよくわかりませんでした。
たとえば、BOSSのギターエフェクターなんかは、通すだけで音が変わってしまいますが、さすがにこのクラスの機材だと自分の耳では判別できる違いはなかったです。
アウトボードが増えたら・・・?
これ以上アウトボードが増えたとしても、OUT3/4とIN3/4が空いているのでこれを使うことができますね。
あとAPI500はモジュール3つを直列に繋いでますので、同じように、MassivePassiveの前あるいは後ろに直列で繋いで、使わない時はバイパスすると言うことも考えられます。
あとはオーディオインターフェースをカスケードすれば、あと8チャンネル、あるいは16チャンネルと増やしていくことができますね。そうすれば、全てのモジュールを独立したIN/OUTに接続できますね。
物理的な結線はこんな感じです。
Logic Pro上でのルーティング
さて、これをどうやってDAW上で活用するかですね。
アウトボードの使い方は3種類あると思います。
- 掛け録り
- 後掛け
- モニター(エフェクト込みのウェット音を聞くだけで録音はドライ)
1つ目は掛け録り。
録音時にエフェクトをかけてしまって、そのエフェクト込みの音をDAWに録音するケースです。
例えば、マイクで録音しているアコギの音に、Massive PassiveでEQを掛けて録音したい、という場合はこうなります。
掛け録りの場合:マイク→Massive Passive→DAW
まずマイクはSSL SiXのSuper Analogue1チャンネルに繋ぎます。
この信号はSiXのメインバスアウトからオーディオインターフェースのIN1/2に流れてきます。ですので、上述のように、DAW側のインプットはIN1/2を選べば普通に録音できます。
そこから、どうやってアウトボードであるMassive Passiveに信号を流すか。ここでもう一度、物理結線の図を出します。
まず、マイクからの信号は次のように流れてきます。
マイク→Supaer Analogue1→オーディオインターフェースIN1/2
そこからMassive Passiveに流したいので、最終的にこういうルーティングになればOKです。
マイク→Supaer Analogue1→オーディオインターフェースIN1/2→オーディオインターフェスOUT5/6→Massive Passive→オーディオインターフェースIN5/6→DAW
オーディオインターフェースのIN1/2に入ってきた信号を、オーディオインターフェースの5/6から出力する必要があるのですが、これはお使いのインターフェースによってできる/できないがあるかもしれません。
私が使用しているUniversal Audio Apolloでいうと、Consoleという制御用ソフトでオーディオインターフェース内のルーティングを行うことができます。
やり方は簡単で、IN1/2の出力を5/6に変更するだけです。
これで、IN1/2に流れ込んできた信号、つまりマイクで録音されたアコギの音は、オーディオインターフェースの5/6から出力されます。5/6の出力が向かう先はMassive Passiveです。
で、Massive PassiveでEQされた音はどこに戻るかと言うと、上の物理結線の図を見て欲しいのですが、Massive PassiveのアウトはオーディオインターフェースのIN5/6に戻ってきます。
ですので、DAW上では、エフェクトされたサウンドは、5/6で受ける必要があります。つまり、録音したいトラックのインプットを5/6に設定すれば良いと言うことになります。
後掛け:録音済みトラックにMassive Passive→Dual Vandergraphを掛ける場合
実の所、掛け録りも後掛けもやり方自体は一緒です。ただ今回は一回Massive Passiveに出したサウンドをさらにAPI500モジュールの方に流す必要があります。シグナルフローとしては、以下のようになれば良いです。
Logicのトラック→OUT5/6→Massive Passive→IN5/6→OUT7/8→Dual Vandergraph→IN7/8→DAW
まずエフェクトをかけたいトラックを選択肢、そのアウトをアウトボードに出します。
さきほどと同じで、Logicだと、通常、アウトプットはStreo Outputになっていますが、これをOutput5/6から出力するようにします。
(注意)上はOutput7-8を選択しているように見えます。Output5-6を選ぶのではないか?と思われる方もいると思いますが、よく見ると、Output5-6はLINE3/4とあります。つまり、Logic上でのOutput5−6はオーディオインターフェースのOUT3/4なのです。
Logicでは、標準出力であるStereo Outputが1/2に設定されている関係で、ハードウェアのOUT番号とLogicでの表記がズレます。具体的には、上のようにオーディオインターフェースのOUT1/2は、Logic上ではOutput 3-4と表記されます。
Streo Outputをずらすこともできるのですが、私はConsoleのSetteings-I/O Matrixでラベル名が付けられるので、わかりやすいような名前をつけることで間違えなくなりました。
これでDAWを再生・録音すると、このトラックのサウンドはまずMassive Passiveに送られますね。で、上述のように、Massive PassiveのアウトはオーディオインターフェースのIN5/6に帰ってきます。
そこで次に、オーディオインターフェースのミキサー、UAD2の場合Cosoleというソフトで次のように設定します。
これで、Massive Passiveの戻りをうけるAnalog5/6のOUTPUTをLINE7/8にしてます。7/8はAPI500モジュールにつながっています。
具体的にはまず1073LBEQにつながり、次にPortico543、最後にDual Vandergraphです。ここではDual Vandergraphだけ使いたいので、1073LBEQ、543はバイパス状態にしてDual Vandergraphだけをオンにすれば良いです。
で、上述の結線図から、Dual VandergraphのアウトはオーディオインターフェースのIN7/8に戻ってきますから、これを録音したいトラックのINPUTに指定すればOKです。
これでこのトラックを録音状態にして、録音スタートすれば、元のサウンドの音がアウトボードを通ってこのトラックに録音されると言うわけです。
I/Oプラグインでなくアウトプットで外に出して録音し直す理由
さて、今まで書いてきたのは、アウトボードに通した音を別トラックで録音するという方法です。
実はLogicだともう一つ方法があります。それは、Logicのチャンネルストリップで、「I/Oプラグイン」というエフェクトを使うことです。おそらく他のDAWでも似たような方法があるのではないでしょうか(知らない)。
I/Oプラグインは、オーディオ信号をオーディオインターフェースのアウトに出力し、その戻りを受けるためのプラグインです。このプラグインを使うと、上述のConsoleでのルーティングは不要です。
一つのトラックで完結するので、アウトボードをまるでソフトウェアのプラグインのように使えるので大変便利です。
ただ、これって、単にシグナルがアウトボードを通って再生されているだけで、録音されるわけではないです。
アウトボードでサウンドを処理する場合、結局最後どこかで録音する必要があります。(単にモニターで使うだけなら別)。
この状態のサウンドを残したい場合は、リアルタイムバウンスすることになるのですが、これをやると、なぜか何ミリsecかズレるんですよね。。。I/Oプラグインにはそのレイテンシー補正の機能もあるのですが、私の環境だと何回やってもうまくいきません。理由は不明。
ですので、私は最初に書いた方法、つまり、一回アウトに出して、別のオーディオトラックを作って、アウトから出てくる音を受けて録音する、という方法を使っています。これだとズレは補正されてピッタリ合います。
最近のワークフロー
さて、接続方法は以上です。
で、これをどういう風に使ってるかと言う話を次に書きます。
アウトボードは、人によっては録りの段階で活用することも多いと思いますが、私の場合はミックス&マスタリング段階で使うことのほうが多いです。
録りでも使いたいのですが、なんか若干めんどくさくて。。。アコギはマイク録音するしかないですから、そこではマイクプリやコンプなんかも使いますが、それ以外での活用はまだあんまりできてません。
まとめると、ここ最近のワークフローは以下の通りです。
最初は使ってる各楽器のローカットやエフェクトなどをかけて、音量を揃えて2mixまで持っていきます。
で、その結果を聞くと、全体的に重心が高いとか低いとか、そういう状態になってることが多いです。これは多分、自分が拙いからだと思うのですが。
なので、最後に全体にEQとコンプをかけて整える必要がありますが、それをアウトボードでやってる感じですね。で、アウトボードだけで音圧を揃えていくのは難しいので最後はOzoneでお手軽にやってしまってます。
拙いサンプルなどを・・・
さて、非常にレベルは低く、お前、これだけの機材持っててこれかよ、、という話はあると思うのですが、サンプルを。。。久しぶりに参加した2時間DTMのやつです。
RIZIN見てたのでで多少の中断ありますが、作業時間そのもので言えば、だいたい3時間くらいでしょうか。2時間以内に収めるのはほんとむずかしい。これまで数回しか成功してませんw
ようやく2時間DTM23曲目。
さて、上述のようにLogic上でプラグインだけで作った2mixをアウトボードにかけていきます。
まずMassive Passiveを通してEQする
まずこれ。Manley Massive Passive。
まあ私程度だと身に余りまくる機材ではありますが、ほんと導入してよかった。素晴らしいEQです。
非常に滑らかな効き心地で、どのようにEQしても、最初からそういう音源だったかのような感じになります。
使い方は試行錯誤してるのでこれ!と言えるほどではないですが、今はこのようにしてるというのを書いてみたいと思います。
まずデフォルトセッティングはこうしてます。
一番左(ロー)と一番右(ハイ)は、Shelfカーブにしています。他はBell。Bandwidthは、左右は一番広く取ってます。真ん中二つはBandwidthを真ん中に、周波数も真ん中をスタートにしています。
左右(ローとハイ)に関しては、基本Boostで、ぐいっと12時くらいまでGAINを上げてしまいます。Massive Passiveはまず12時〜13時までグイッと上げてそこから微調整、、、としないと変化がわかりにくいです。それくらい微妙に効いてきます。
真ん中二つは、同じようにまずGAINを12時くらいまでグイッと上げる。その後、Bandwidthを右端いっぱい(一番ナローにする)まで回します。そこから、周波数をいじって、どの辺の音をいじりたいのか探ります。
この辺の要素だなー、というのが見つかったら、そこからBandwidthを広くしていきます。そうすると、とんがって効いていたEQが滑らかに周囲と馴染むようにじわっと溶けていきます。自然な感じになるギリギリのところを探るイメージです。
最後にGainをちょっと上下してみて、微調整、という風に使ってます。
私の2ミックスはどうも全体が暗くなる傾向があるので、この段階ではほぼ右のハイ(8K2)を大幅に上げるところからスタートしてますね。ミドル(真ん中二つ)はあんまりいじる機会がありません。
ただ、今回はこんな感じになりました。
Shadow Hills Dual Vandergraphで重心下げてダイナミックに
Massive Passiveの後はDual Vandergraphです。
1.2:1で針がほんの少し動くか動かないか程度に緩くかけて、ボリュームを上げます。
これをかけるとガッツが出るんですよね。活き活きとするというか、ロックになるというか。
8:1にするとアタックが結構速くなるので、もうすこし違う使い方も開拓したいです。
アウトボード使った感想
まあこんな流れで2mix後にアウトボードを掛けて仕上げる、というのが一番多いパターンです。
今のところ、この接続方法、この使い方がもっとも使いやすいです。これもやっていくと少しずつ変わっていくのかもしれませんが。
さて、アウトボードって結局どうなのか?プラグインより良いのか?
自分的にはアウトボード好きです。でもブラインドでプラグインと聞き分けられるかどうかは自信ない。多分無理。
自分が思うアウトボードの良さって、最終的な出力結果というよりも途中経過なんですよね。
アウトボード買ってよかったなと思うのは、まず第一に、EQもコンプもどうやって効くのかよくわかった、ということです。アウトボードを使うことでエフェクターの使い方がすこし進歩した気がするんですよね^^
Massive Passiveなんかは、非常に滑らかで微妙なかかり方をするEQですが、実機いじってから初めてプラグインの使い方がわかりましたw
同じつまみにすればまあおんなじような音になるので、一定の力量に達すれば、プラグインだけでも同じ音に仕上げることはできるのかもしれません。でも過程がちがうんですよね、どういうわけか。
ああ、あとアナログ機材はどう言うわけか、音が分離すると言うか一つ一つのパートの輪郭が立つ印象はあります。
特に個人的に超お気に入りのDual Vandergraphは、どしっと重心が落ちて、ステレオイメージは狭まるんですが、なんか各パートが分離しながらも混ざると言うか、なんともいい感じで好きです。これと同じ効果を出すプラグインは今のところ知らないです。それでも最終結果だけに着目すれば、いろいろやれば同じ音、、、というと語弊がありますが、同じようにはできるんじゃないでしょうか。上手い人なら。
同じようにできるから実機はいらない、のかやはり実機が良い、のかは個人の価値観なので、自分の考えに従って好きにすればいいと思います。
所詮道具なので、使っててしっくりくる、楽しい、信頼できる、なんか好き、で選べばいいものです。みんなが同じものを使う必要はないし、これを使ってるから良いとか、使ってないから悪いなんてありえませんよね。
で、自分はどうかと言うと、実機は好き。でもプラグインのほうが便利なので、何でもかんでも実機にしたいとは全く思わない。
いまのところ、Massive PassiveとDual Vandergraphはプラグインよりも圧倒的に良いと感じてます。プラグインのほうが便利ですが、それを差し引いても実機の方がはるかに好きだし、より積極的に使いたいと感じます。
一方でPortico543なんかはすごく良いけど、トータルでは全然プラグインのコンプでいいやとか思ってしまう(わかってないだけかも)し、1073LBEQはプラグインより音質は良いとは思うものの、ワークフロー的に今ひとつハマりきらないので、だったらプラグインでも良いのかなあと思ったりします。実際プラグインの1073EQのほうが使用頻度高い。
というわけで、結局のところ、プラグインも含めて好きなものは好きで、使いやすいものの使用頻度があがるよね、という当たり前の結論になりますね^^;
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