ピアノ調律士の話。美しい文章の小説「羊と鋼の森」

しばらく歴史物、それも小説ではないやつを読んでたのですが、ちょっと疲れてきた。

最後に読んでたのは、毛沢東もの。

今の中国が成立する過程って、複雑で良く知らないし、そもそも毛沢東ってどんな人だったのか全く知らないことに気づいてその辺をいくつか読んでました。じゃあ、次は蒋介石にいくか、、、と思ったのですが、そろそろちと疲れてきた。

そこで、エンタメというか、なんか物語を読もうと思って、Amazonにいってちょいちょい見てたら、「ピアノ調律士」を題材にした小説がベストセラーの中にあって興味をひかれました。で、スマホのKindleで読もうと購入。

まだ、60%くらいしか読んでないのですが、引き込まれた。

これは、、、いい。すごくすごく良い。

まず文章が美しい。まるで詩を読んでいるかのようです。

どこか無気力で無自覚な諦めを感じさせる主人公が、ある日、学校のピアノが調律師によって調律されている場面に出会い、心を奪われます。その後、駆け出しの調律師となり、少しずつ成長していく中で言います。

「ピアノが、どこかに溶けている美しいものを取り出して耳に届く形にできる奇跡だとしたら、僕はよろこんでそのしもべになろう。」

前後の文脈と無関係に切り出したら本来の良さは損なわれる。でも、切り取っても美しい文章だなあと思いました。

全編通じて(といっても読み終わってないけど)、はっきりとした映像美のようなものを感じる。

はっきりした、、、といってもそれを言葉で表現するのは難しく、映像美というのは違うのかもしれないです。

でもなんだか、森の中の少しひんやりと澄んだ空気の匂いや、足元の柔らかい土の感触のようなものを惹起されました。

今日か明日には読み終わると思いますが、これはすぐに2回目に突入しようと思ってます。

今のところ、事件というべき事件は何も起こらない。そういう意味では、カズオイシグロの「日の名残り」とやや肌合いが近いかもしれない。

でも、「日の名残り」は、色が少なく、かつ全体的に彩度の低い心象風景です。

「羊と鋼の森」は、森の中の葉っぱの上に留まる水滴のような感じ。水の透明さと葉っぱの緑が混ざって、すこし黒のようになっている、その境目を覗き込んでるような感じ。静謐だけれども全体的には明るい。

もっとも、後半読み進めたら、なんか大事件が起きたり、いきなり不幸になったりして印象変わるかもしれませんが。

ピアノ題材ではあるけれど、音楽系ってこともあるし、音色の探求のような描写も多いです。

その辺は、一般的なピアニストよりもむしろ音色をあーでもないこーでもないと追求して楽しんでるギタリストのほうがぴんとくるんじゃないか、とも思いました。

というわけで、なんか読む本探してるギタ友にはぜひおすすめしたいです。

・・・まあまだ読み終わってないけど。

読み終わってないのにオススメするのもどうかとは思いますがw

コメント